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キアゲハ通信No.082 -「とある缶コーヒーのコマーシャル」

2015.05.11 更新

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「とある缶コーヒーのコマーシャル」

院長 西田 善彦

 今年の秋は、東京オリンピック開催の決定に始まり、サッカーJ2徳島ボルティスに在籍していた柿谷選手の日本代表デビュー、中日ドラゴンズの監督交代、上原投手によるボストンレッドソックスの優勝、そして東北楽天の日本一とスポーツの話題には事欠かず、何を書こうか迷っていました。そうした中、1本のTVコマーシャルが気になりました。

 そのCMとは、病院の自動販売機の中にも入っているキリン・ファイアという缶コーヒーの「心に火を、父へ」というものです。ご存知の方もおられるかとは思いますが少し説明してみます。舞台はとある建設現場で、そこに俳優の江口洋介さんが工事現場の監督でもしているのか、建設作業着を着て働いています。そして彼は、「薄汚れた作業着姿で誰にでも頭を下げて働く父の姿を見て、幼い頃は嫌がっていた。しかしその頃の父の年齢に自分が近づいてみて、小さく思えた父の姿が、実は真摯に仕事に取り組む偉大な姿だったと気づいた」とつぶやきます。そして缶コーヒーを飲み干して休憩を終えた後、「さあ、もう一仕事行くか」と膝を叩いて立ち上がる姿は父の姿と重なり、江口さんの胸に灯がともり歩き出すというものです。

 これを見て心に響いたのは、私の両親のことです。私の実家は洋装店をしておりました。今と違って既製品ではなく生地を売っていたのですが、お客様に愛想良く頭を下げていた姿が思い浮かびます。そういった態度が嫌で、私は技術職である医師を職業として選びました。しかし医師もまたサービス業と呼ばれる時代となり、顧客満足を要求されるようになりました。そんな中にあって最近では自然に笑顔で応対できている自分がいることに気づきました。商売人であった両親のDNAが、恐らく私にそうさせているのかもしれません。ファイアのCMを見てふと両親のことを思い出し、改めて感謝している次第であります。

(院内広報誌「なんきんまめ No.109(2013.11.15)」に掲載)
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