むずむず脚症候群について

2004.03.30 放送より

 春眠暁を覚えずというと高校時代に習った漢詩の一節ですが、以前にお話しました睡眠時無呼吸症候群では絶えず眠いものです.それに対して今日は不眠の1つの原因となるむずむず脚症候群(英語ではrestless leg syndromeといいます、restless=落ち着きがない、休めない)についてお話ししたいと思います.

 むずむず脚症候群といいますと聞き慣れない方が多いかと思いますが、実は人口の1~3%(米国では2~5%)の人にみられる立派な慢性疾患であります.一般には中年期以降に発症することが多いようですが、20歳前からみられたり家族性にみられたりすることもあります.この病気の症状は病名の通り脚の不快感であります.この不快感は言葉で説明しづらいもので脚の中を虫がはいずり回るかのように不快に感じ、「もぞもぞ」、「もじもじ」、「ぴくぴく」、「いらいら」、「そわそわ」、「じんじん」、「びりびり」など実にたくさんの表現がなされております.

 特に夜ベッドや布団で横になる時に現れることが多く、じっとしておられなくなり、不快感から逃れるために脚を動かしたい衝動に駆られます.それで起きあがって歩くなどしないと落ち着けない人もいるようです.また就寝前のアルコールやカフェインの摂取が誘因となることもあるようです.

 それから夜間だけでなく昼間でも疲れてじっと座っている時などに起こることもあり、さらに脚が熱いように感じたり、周期性四肢運動異常症(PLMD)といいまして下腿の前脛骨筋という脛の所にある筋肉に素早い不随意的な収縮が合併していることがあるようです.このPLMDでみられる脚の素早い動きは20~40秒間隔で0.5~5秒程度続き、小さな動きのこともあれば人を蹴り飛ばすほど大きな動きもあり、これ自体で不眠を引き起こし、むずむず脚症候群の約80%に合併しているという統計もみられます.大体は基礎疾患のない中年以降の人に起こりますが、血液透析を受けておられる人(約半数)、パーキンソン病の人、胃を切除した人、鉄欠乏性貧血の女性そして妊娠中特に出産前の2~3ヶ月間の女性(約15%)にもみられます.

 原因はいまだ明かにはなっておりませんが、中枢神経の神経伝達物質であるドパミンの機能が低下していると考えられております.また最近、小脳や視床が活性化されていることが原因であるという説も出てきております.

 次にこの病気の治療ですが、鉄やビタミン欠乏症にはそれぞれ鉄やビタミンを補充するなど基礎疾患に対する治療は勿論有効です.それ以外の対症的な薬物療法として幾つかの薬剤が知られております.これらの効果は約80%以上あるとのことですが、まず1番よく使われていると思われますのが、ランドセンあるいはリボトリールという名前の抗けいれん剤でこの薬はベンゾジアゼピン系の薬剤に属しております.そしてこの同じ系列の薬剤で抗不安薬に属しているコンスタンあるいはソラナックス、セルシンなどや睡眠薬に属しているハルシオンなども使われます.

 そして非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬でもマイスリーなどが使用されるようです.またドパミンの機能不全が病因の1つに考えられておりますので、パーキンソン病の時に使われます各種L-ドーパ製剤やペルマックス、カバサール、ドミンといった各種ドパミン受容体アゴニストなども重症例では使われるようです.

 これらの治療でうまくいっていても効果が長続きしないこともあり様々な薬が試され効果を上げているようです.例えば海外では各種麻酔性鎮痛剤(オピオイド)も使われることもあるようです.さらに筋弛緩剤であるリオレサール、抗けいれん薬であるテグレトール、デパケン、マイソリンなどが使用されたり、降圧剤であるカタプレスやインデラルあるいは抗うつ剤であるトフラニール、デジレル、トリプタノールなども使われることがあるようです.そして大切なのはこれらの治療がうまくいって症状がなくなっても再発しないようある程度長期にわたり薬の内服を続けておいた方が良いように思われます.

 一方、薬物療法以外には鍼や灸、足裏マッサージなどもあるようですが、生活療法として、お茶、コーヒーなどカフェインの入っているものやアルコール類を避けること、遅めに寝るようにすること、寝る直前に脚などを中心にストレッチなど比較的軽い運動をしてから就寝すること、起こり始めたら思い切って起きて足踏みや歩行など軽く運動することなどがあげられます.

 この病気は名前からして奇妙であり、皆様は一見なじみが余りないように思われたかもしれませんが、軽い程度のものであれば案外と思い当たられる方も多いかもしれません.睡眠不足に関わるようであれば立派な病気ということになりますので、1度神経内科を受診されるようお勧めいたします.

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