変形性関節症について

2003.09.05 放送より

 お葉書拝見させていただきました.お葉書の内容をまとめてみますと、旅館業を営んでおられ若い頃から階段の上り下りなどでかなりの重労働をしてこられた69歳の女性が、右の股関節と膝の夜も寝られないほどの痛みでお悩みのご様子であり、特に右膝は動くと関節に水が貯まるとのことです.お葉書の内容からだけでは詳しいことは分かりかねますが、推測してみますとこの方は変形性関節症に罹られているのではないかと思われます.その理由は、変形性関節症は重いものを持つなど関節に負担のかかるような労働を長年してきた中・高年の方に多いということや鑑別すべき疾患で1番にあげられる関節リウマチでは発熱、貧血、全身倦怠感など何らかの全身症状がみられたり、関節に左右対称性にも痛みをきたすことが多いなどもっとより多くの関節の症状がみられることが多いと思われるからです.そこで本日は、変形性関節症についてお話ししたいと思います.

 変形性関節症というのは、骨と骨との間にある関節軟骨(骨に比べて柔らかくて弾力性がありゴムのようなもの)が、使いすぎによってすり減り骨が徐々に変形してゆき、関節が変形したり腫れたりし、さらに関節水腫といって関節の中に水が貯まったりして痛む病気です.若いときは激しい運動や労働をしがちな男性に多いのですが、老化の一種ともいえ、60歳以上になると女性の方が多くなり、実に80%以上の人に何らかの症状がみられるようになり、日本全体では1000万人位の患者さんがいるといわれております.体重のかかる膝や股関節に起こりやすいのですが、頸椎や腰椎の椎間板、第1手根中手関節、第1中足趾節関節などにも起こります.

 病因としては、骨や関節軟骨の加齢性変化、筋肉の衰え、肥満、激しいスポーツや重労働による負担、O脚や扁平足など足部の変形、足に合わないハイヒールなどの靴などがあり、さらにけがによる関節の脱臼、関節の軟骨や靱帯あるいは半月板の損傷などにより二次的に発症することもあります.

 症状は、初期には痛みは関節を使いすぎた後に生じ、安静にすることによりおさまります.その後、関節を曲げたり伸ばしたりしたときや運動しているときにコツコツと音がしたりするようになり、運動中にも痛みが続くようになります.さらに進行すると軽い運動や安静時、特に夜間にも痛み出すようになり、炎症のために関節表面にある滑膜からの関節液の産生が増加したりその流れがとどこおったりしていわゆる関節に水がたまる状態となり、関節が腫れて変形してきます.そして痛みのために関節を動かす機会が減ると、二次的に筋肉も萎縮し筋力が低下して関節への負担が増し、さらに痛みが強まってしまうという悪循環を招くことになります.

 さてこの病気の診断ですが、対象の関節のX線撮影を行い、骨の変形の程度を調べます.通常、関節腔という骨と骨の隙間の部分は何も写りませんが、軟骨がすり減っていればこの部分が狭くなります.また骨の変形所見としては体重を受け止める面積を体が増やそうとして骨棘という出っ張った部分を骨端に形成するようになります.また同様に女性に多い関節リウマチなどの場合は、血液検査によってリウマチ反応ほかいろいろな膠原病の検査も鑑別に重要となります.

 次に治療でありますが、当然、消炎鎮痛剤や湿布剤などによる薬物療法や温熱療法を行います.しかしこの病気は加齢性変化に伴うものですから、日常生活の中で出来るだけ病因を取り去ることが重要です.まず肥満は関節に負担をかけますので大敵です.体重を3kg落とすだけで膝への負担は18kg減るといわれています.肥満のある人はやせる努力をすることが大切です.次に激しい運動は避けることです.長い距離を歩いたりしないことは勿論のこと長時間立ち続けないようにし、正座は避け、階段の上り下りを控えてエレベーターなどを使用するようにします.トイレも和式よりも洋式の方が断然膝に対する負担を軽減させます.また重いものは出来るだけ持たないようにすることも必要です.このようにいいますと運動は禁のように聞こえてしまいましたが、実際は適度な運動は血行を良くして患部を温めたり、関節の動きをスムーズにしたりして痛みを軽減させます.

 また血行が良くなれば関節にも栄養が行きわたり組織を修復する力を高めることが出来ます.さらに関節周囲の筋肉を鍛えることにより関節の保護効果も期待されるというわけです.運動としては体重の負担がかからない水泳や自転車がお勧めなのですが、誰もがいつでもできるわけではないので気をつけて歩行することも良いと思います.すなわち歩くときには踵の柔らかい靴をはき、出来れば杖を使えば股関節や膝関節にかかる負担が軽減されます.また膝にはサポーターをすると関節を適度に固定する効果や保温効果などにより痛みを軽減させることがあります.

 勿論、以上のような日常生活での注意点を守っていても痛みが軽減しない場合には、最悪の場合いろいろな手術的治療までありますが、そうならないように普段から気をつけるようにして下さい.

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