特定疾患について

2015.01.18 放送より

 本日は平成26年に難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)が成立し、平成27年1月1日より精度が変わった特定疾患治療研究事業についてお話します。

 そもそも特定疾患いわゆる難病の公費助成制度は昭和48年にベーチェット病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス(SLE)およびスモンの4疾患を対象として始まりました。その後、対象疾患は少しずつ増え、平成21年10月時点で56疾患となっていました。これらの内訳としては、パーキンソン病関連疾患、筋委縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患、多発性硬化症や慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)などの自己免疫性神経疾患といったいわゆる神経難病が数多く含まれているほか、悪性関節リウマチ、強皮症などのいわゆる膠原病、再生不良性貧血や特発性血小板減少性紫斑病などの血液疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病などの消化器疾患、特発性間質性肺炎、特発性拡張型心筋症など呼吸・循環器疾患など、これらは内科系の疾患ですが、それ以外にも後縦靭帯骨化症、広範脊柱管狭窄症といった整形外科的疾患、網膜色素変性症など眼科疾患、天疱瘡などの皮膚科疾患など非常に多岐にわたる疾患が含まれていました。

 そして対象疾患が徐々に増えていくに伴い、当初は対象疾患の医療費は、全額公費負担であったものが、平成10年5月1日より重症患者を除いて外来1日につき1,000円(月2回まで)、入院1月につき14,000円の一部自己負担が導入されました。さらにその後平成15年10月1日よりは患者さんの所得階層区分に応じて月額限度額も設定されるようになっております。またこの時から同時に1年ごとの認定更新に際して、疾患特異的治療の必要性がないかどうか、臨床所見が認定基準を満たしておらず著しい制限を受けることなく就労などの日常生活を営むことが可能であるかどうか、治療を要する臓器合併症等がないかどうかなど3つの要件を審査するようになり、これらの要件を3つとも1年以上満たしていると判定された場合には軽快者と認定されて1時的に公費負担を受けられなくなるようになりました。このことは、そもそも特定疾患治療研究事業というのは、都道府県が対象疾患の治療研究を行うのに適当な医療機関に対して治療研究に必要な費用を交付することにより行われており、その費用の半分を国が予算の範囲内において補助しているため、患者数の増加だけでなく税収不足などにより財政状況が悪化している現状では仕方が無いことかもしれません。

 そのような状況の下で、今回さらに制度の改定が行われました。平成27年1月1日よりの変更点といたしましては、まず公費負担の対象となる疾患の拡大です。医療費助成の対象となる難病を「指定難病」として、従来の56疾患からとりあえず新たに増やして110疾患とし、将来的には約300疾患まで拡充する予定だそうです。この指定難病の定義ですが、従来の難病は、発病機構が明らかでなく、治療法が確立していない、そして希少な疾患であって長期の療養を必要とするというものでしたが、指定難病は、これらの難病の定義に合致するもののうち、患者数が人口の0.1%程度以下(1億2千万人では1万2千人)であり、客観的な診断基準が確立していて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものを厚生科学審議会が選んで厚生労働大臣が指定するとされています。具体的に増える疾患としては神経内科領域では原発性側索硬化症、封入体筋炎、進行性多巣性白質脳症、HTLV-1関連脊髄症など、よりまれで治療法のない厳しい病気が含まれているようです。そしてこの疾患の拡充によって対象患者数は平成23年の78万人から平成27年には150万人に増加すると見込まれています。

 次に自己負担の違いについてお話します。今回より新たに認定される方とこれまで既に認定されている方では少し違うのですが、新規に認定される方の場合、70歳以下であれば、医療費は通常3割が自己負担(月 10万円の医療費では自己負担は3万円)ですが、これを2割に減額した上で収入に応じて1か月の上限額を決めるというものです。例えば1か月の医療費が外来と入院を合わせて10万円の場合、自己負担が2万円となりますが、年収が約360万円の方の場合、上限額が1万円(重症者では5,000円、人工呼吸器装着者では1,000円)となります。そしてこれとは別に従来は入院中の食費は公費負担であったものが、今後は全額自己負担となります。一方、既に認定されている方は3年間の移行措置によって食費が半額になるなど上限額も少し減額されているようです。

 それからもう1つの変更点は、指定医療機関と指定医を定めると言うことで、従来とは違い、指定された医師でなければ認定のための書類を作成出来なくなりますし、指定された医療機関でないと公費助成の制度を使えないこととなります。すなわち、難病医療のために医師および医療機関はより高度な医療を提供する必要があるということです。そのほか申請に必要な書類などには特に大きな変更はないように思います。

 本日はこの度新たに変更された特定疾患の制度につきまして、簡単に説明いたしましたが、かなり大きく変わるようですので、実際に実施してみて今後の動向に注目してみたいと思います。

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