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キアゲハ通信No.009-「米百俵」

2014.02.17 更新

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「米百俵」

院長 西田 善彦

  前回は米大リーグのオールスター戦でも活躍し,日本中を明るくしてくれているイチロー選手を取りあげました.そして今回は,日本(いや自民党?)を元気にしているもう1人の日本人である小泉純一郎首相が言ったことを取りあげます.それは彼の引用で俄然脚光を浴びた物語,“米百俵”です.

 もう2年前に私はビデオで見たのですが,米百俵は幕末の越後長岡藩の家老である小林虎三郎の物語です.小林虎三郎は学問が好きで,江戸に出て佐久間象山の元で漢学や蘭学を学び,吉田寅二郎(のちの松蔭)とともに象門の二虎と称せられました.ビデをでは子連れ狼で有名な萬屋錦之介さん(そして難病である重症筋無力症を克服した俳優でもあります)が主演されていました.この時,長岡藩は北越戊辰戦争に破れ禄高を減らされた上,折からの凶作で明日の食い扶持にも困るほど困窮していました.この長岡藩を救うためにお分家三根山藩は米百俵を差し出したのでした.目先の誘惑に負けて食べてしまおうとする周囲の藩士の意見を振り切り,小林虎三郎はその米を売って得た金で将来に備えて学校を建てました.その時の恨みをかい,彼は非業の死を遂げますが,学校は藩の将来を担うべき人材を教育するところであり,結果として,そこから育った優秀な若者たちによって,長岡藩は救われたのです.後日,彼の考えが正しかったことは証明されたのです.将来の人材を育てるための教育が大事であるということは,前回のキアゲハ通信で取り上げたイチロー選手の“モティベーション”の話に一脈通ずるものがあります.

 長岡藩の状態は日本の現状に似ているとして,小泉首相は,痛みに耐え忍んでも将来のために改革を断行してゆこうと考え,この話を引用したのだと思います.将来を見据えてそれに対して絶えず努力をしてゆくことは個人レベルでも必要なことだと考えます.そしてそれには教育(研修)が大事であるということはゆうまでもありません.

(院内広報誌「なんきんまめ No.36(2001.8.25)」に掲載)
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