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キアゲハ通信No.067-「東日本大震災」

2015.01.26 更新

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「東日本大震災」

院長 西田 善彦

 平成23年3月11日、私はこの日の午後、夜7時からの病院のボーリング大会を楽しみに訪問診療に出かけておりました。ラジオで東北地方に大きな地震があり徳島にも5時頃に津波が来ると言われて少しは驚きましたが、その頃吉野川大橋を渡っても何事もなく、それなのにボーリング場が閉鎖されて大会が出来なくなったことを悔しがっていました。ところが夜、帰宅して現地が大変なことになっていることを知り、自分の暢気さを恥じ入りました。

 私がこのような大災害を経験したのは、阪神大震災が初めてでした.当時私はまだ大学に勤務中で、3日後(淡路・一宮町)と1ヶ月後(神戸市諏訪山小学校)の2回、それぞれ2泊3日で救護活動に参加しました。そしてその時のことは、以前このキアゲハ通信No42に書きましたが、淡路ではプライマリ・ケアを通じて医者としての原点を見つめ直すことが出来ましたし、神戸では長期にわたる避難所での先の見えぬ生活がもたらす心理的な影響から、いかに精神的なケアが大切であるか学ぶことが出来ました。

 今回も出来れば今すぐにでも万難を排して救護活動に参加したいと考えておりますが、それにしても今回の被害の大きさと悲惨さは圧倒的で想像を絶しております。そしてさらに原子力発電所の放射能漏れという目に見えない恐怖を伴った人災とも言うべき2次災害については,あの時の見ず知らずのお年寄りの一言を思い出してしまいました。それは「大地震よりも第2次世界大戦の方が怖かった」という話で、すなわち地震は無作為的にやって来るので仕方がない面があるが、空襲は人を狙って機銃掃射や爆弾投下が行われるのでもっと始末が悪いとのことでした。

 今回の原子力発電所の事故を通じて考えさせられたことは、私たちの職場である病院でも医療過誤という人災を招かぬよう普段から当たり前のことを当たり前とせず絶えず気を引き締める必要があるということであります。

(院内広報誌「なんきんまめ No.94(2011.5.15)」に掲載)
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