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キアゲハ通信No.078-「柔道日本」

2015.04.06 更新

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「柔道日本」

院長 西田 善彦

 最近、スポーツ指導における体罰が問題となり、オリンピックで金メダルを量産している女子柔道でもまさかの内部告発がありました。そんな話題の中、先日、平成の三四郎として有名な柔道家、古賀稔彦氏の講演を聴く機会がありました。

 古賀氏はご存じの方も多いかと思いますが、自身のけがを押してのオリンピックでの優勝のみならず、女子柔道で弟子にも金メダルを取らせ指導者としても実績のある方です。そして現在は、死ぬまで柔道をしたいとのことで子供から老人までを相手に「古賀塾」という柔道塾を主宰されておられます。そしてその塾の理念は人間育成とのことであり、1882年に柔術を柔道として昇華させた講道館柔道の嘉納治五郎先生の「精力善用」、「自他共栄」という言葉を講演で引用されました。これは分かりやすく言えば、自分のエネルギーを常に良い方向に向けて使い人の役に立ちなさいということだそうで、まずは挨拶から始まり、感謝や謝りの言葉が素直に出るようになり、さらに例えば道に落ちているゴミを当たり前の事として拾えるようになることだそうです。そう言えば、柔道人口が日本の5倍はあるといわれるフランスで柔道を習い始めるきっかけは、「集中力をつけたい」に加えて「礼儀正しくなりたい」なのだそうです。

 医学も医術と呼ばれていた時代があり、医術は慣習的な技術から科学的エビデンスに基づいた学問へと飛躍し、現代では医学と呼ばれています。しかし医学の最終的な目的は人を救うことであり、病気を診るだけでなく人も看なければならず、そのためには相互の信頼関係が重要であります。臨床医学にはヒポクラテスが言うような倫理面をもっと重視した医学道のような概念も必要ではないでしょうか。講演を通じて柔道は自分を高めてくれるすばらしいものと分かりましたが、それでも1対1で負けると悔しさが倍になるので、やっぱり私には向かないと思いました。

(院内広報誌「なんきんまめ No.105(2013.3.15)」に掲載)
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