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キアゲハ通信No.081-「宮崎 駿監督の引退」

2015.05.07 更新

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「宮崎 駿監督の引退」

院長 西田 善彦

 アニメ映画の宮崎 駿監督の突然の引退報道にはびっくりいたしました。宮崎監督と言えば、「アルプスの少女ハイジ」や「となりのトトロ」などで有名であり、ほとんどの人が監督の作品で涙したことがあるのではないかと思います。その監督が最新作「風立ちぬ」の上映直後に、これを最後に引退すると言われるのです。この映画は、今までの監督の作品がファンタジー的なものが多かったのに対して、今回は太平洋戦争という実際にあった戦争が背景にあり、これまでとは少し趣が異なるようです。

 それでも監督の描く映像は、今回も一貫していて「レンズを通して」ではなく「人間の目を通して」見たイメージなのだそうです。この違いは、レンズがその前に存在するものをすべて等しく写すのに対して、人の目では自分の興味や感情などをフィルターにして目の前のものを強調したり省略したりと情報を適当に取捨選択することが出来るという点です。さらにまた一方では、監督は画像のデジタル化はアニメ映画の力を弱めるとも言われています。このことは以前に私が書きましたように、実はデジタルよりアナログの方が、情報量が多いことを意味しているとともに、最近では、通常の映画において実写に加えてかなりのコンピュータグラフィックが取り入れられておりますので、そのことも批判されているのかもしれません。

 宮崎監督は、映画賞を取り興行成績を上げるためではなく、見る人に感動や喜びを与えるために映画を作るのだと言われています。そしてそのためには見る人の側に立って作ることが監督のポリシーなのだと思います。このことは、映画の制作といったクリエイティブな仕事と私たち医療・介護の仕事では内容が大きく異なるとはいえ、共通しているように思います。人に希望や喜びを与えることは、素晴らしいことであり、宮崎監督にもこれから先もずっとアニメを続けていただきたいと思います。

 (院内広報誌「なんきんまめ No.108(2013.9.15)」に掲載)
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