こむらがえりについて

2005.02.15 放送より

 まだまだ寒い季節が続いておりますが,こんな時に急に運動して足がつった経験が皆様お有りかと思います.そこで今日はこむらがえりについてお話しいたします.

 そもそもこむらがえりの「こむら・腓」とはふくらはぎのことです.すなわちこむらがえりは運動をしている最中や睡眠中などにふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋といった筋肉が突然激しくつって痛むことをいいます.その誘因としては下腿への疲労の蓄積,下肢への血行障害,下肢の筋の冷え,脱水や下痢などによる体の中の電解質の乱れ(特にCa,Mg,Kの減少)などが考えられています.そしてどういう人に起こりやすいかというと,水泳やテニス(特にサーブの時のつま先立ち)など激しいスポーツをしている人,血液透析を受けている人,糖尿病や肝臓の悪い人,ある種の薬を飲んでいる人,妊娠中の人,老人などに起こりやすいといわれています.

 それでは個々の例でどのようにして起こっているかお話しいたしますと,まず運動をしている人に起こる時は,ウォーミングアップ不足あるいはいったん運動を休みその間に筋肉が冷えたために筋肉が充分リラックスできていないのに過度の緊張がかかってしまったり,過度の運動により疲労物質である乳酸がたまってしまったり,激しい運動により汗をかいて水分と塩分が失われてしまったりして起こるものと思われます.次に血液透析を受けている人の場合は,電解質のバランスが崩れやすい(特にCaは下がりやすい)こと,血液が酸性に傾きやすいこと,透析後は一種の脱水状態になっていることなどのためと思われます.

 それから糖尿病の方では,夜足がつりやすいという事で糖尿病に気付かれることもあるそうです.普通の人でも勿論夜,特に明け方に足がつることがあります.これは夜の内に人間はたくさん汗をかいてしかも睡眠中は水分をとりませんので脱水になりやすいこと,明け方には足が冷えやすいこと,さらに寝ていて足先がずっと過度に伸ばされたままになっている可能性があることなどにより明け方に足がつりやすいのだと考えられています.そして糖尿病の人では血糖上昇に伴う多尿のために一般の人よりもさらに脱水になりやすく,その上,体が酸性に傾きやすく乳酸もたまりやすいことも関係しているものと思われます.また肝臓の悪い人,特に肝硬変では,血液の酸性化や電解質のバランスが崩れやすいことなどにより起こりやすいといわれています.

 また薬剤によるこむらがえりの報告では,利尿剤,β-ブロッカー,Ca拮抗剤そして抗甲状腺剤であるメルカゾールなどの報告があります.利尿剤は,水分や電解質を強制的に尿中へ排泄させるわけですから当然脱水や電解質バランスの乱れを引き起こします.またβ-ブロッカーやCa拮抗剤は共に高血圧症や狭心症などの治療に使われております.β-ブロッカーでは筋肉へのKイオンの流入を抑制することにより,そしてCa拮抗剤では細胞外から筋肉へのCaイオンの流入を抑制することによりそれぞれこむら返りをきたすことがあるといわれております.

 また妊娠中の人で起こるのは,妊娠後期に子宮が大きくなり,骨盤内での血管の圧迫により下肢からの血液の還流が障害されることによるものと思われます.それから老人では当然,脱水や電解質の乱れが起こりやすく,低体温気味で夜は足も冷えやすいので起こりやすいのだと思います.

 それでは次にこむらがえりの対処法です.まず起こってしまったら,収縮した筋肉を伸ばすことです.すなわち,アキレス腱を伸ばすようにすれば良く,具体的にはまず膝を伸ばします.次に片手で痛んでいるふくらはぎをそっとつかみ,もう一方の手で足のつま先をお臍側に向かってゆっくりと押して足首を背屈させます.予防としては,運動前に充分ストレッチをすること,足を冷やさないこと,過度の運動を避けること,脱水やミネラルの喪失に備えて運動や睡眠に際してスポーツドリンクなどで補給をすることなどが考えられます.薬としてはビタミンEやカルシウム+マグネシウムのサプリメントなどが,即効性はありませんが使われています.また即効性のあるものとして末梢性の筋弛緩剤も使われますが,漢方薬の中で芍薬甘草湯が,夜寝る前などに予防的に内服し著効を示すことが良くあります.

 以上,こむらがえりがどの様な人にどの様にして起こるのか,そしてどのように対処すれば良いのかお話ししてきましたが,これ以外にも神経疾患など別の原因で筋の緊張が過度に高まることがあります.頸椎症や腰部脊柱管狭窄症,腰より上のレベルで運動神経が障害される疾患(多発性硬化症,運動ニューロン疾患),筋強直性ジストロフィー,それに低Ca血症で起こるテタニーやテタヌス(破傷風)などさまざまな疾患です.これらは稀ですので,まずは心配ないのですが,余りにこむらがえりが頻発する場合は,何か内臓疾患がないかどうかあるいは別な病気ではないか一度調べてもらって下さい.

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