腰痛について(1)

2003.02.11 放送より

 お葉書拝見させていただきました.その内容をまとめさせていただきますと、43歳の測量関係のお仕事をされている男性が数年前から朝腰が痛くて目がさめるそうで原因が分からずヘルニアなどを心配されているということだと思います.働き盛りでこれからもどんどん働かなければならないのに確かに心配ですね.しかし実は腰痛の頻度を見てみますと、年齢とともに高くなり、10歳代後半から40歳くらいまでの有病率がせいぜい10~25%であるのに対して40歳を超える中高年では20~40%を占めるといわれております.従いましてこの方はちょうど腰痛年齢にさしかかっていると思われます.

 さてそもそも腰痛といいましても腰部椎間板ヘルニア(いわゆるヘルニア)を始め、ぎっくり腰、腰椎圧迫骨折、腰椎すべり症など数多くの原因が存在いたします.従いましてどのような腰痛があるのかを病因すなわち病気の原因からみた分類によって説明したいと思います.始めにやはり外傷性のものが、一番有名であり、これにはヘルニア、ぎっくり腰などが含まれています.椎間板といいますのは、背骨(椎体)と背骨の間にある軟骨で座布団のような役目をしております.このおかげで骨と骨は直接ぶつかってお互いを傷つけることもなくまた曲げたり伸ばしたりできるというわけです.その椎間板は、急に重いものを持ち上げたり転落したりして外から大きな力を加えられますとたまらず変形し、脊髄や脊髄から出た神経根を圧迫し、激しい痛みをきたすことになります.また同様の外力が筋肉や筋膜に加わり損傷を引き起こすと急性筋肉性腰痛症すなわちぎっくり腰になります.

 筋肉性腰痛症には3ヶ月以上腰痛が続く慢性のものもあります.これは、急性のものを繰り返し起こしていて慢性化することもありますが、急性の痛み発作がなくとも腰椎および腰椎周囲の筋力が弱くて適切な姿勢保持ができなかったり、姿勢の不良などが根底にあり腰椎周囲の筋肉や筋膜に過度の負担がかかっていることなどにより腰痛をきたすことがあります.また外力により椎体の骨に骨折を起こせばいうまでもなく脊椎椎体圧迫骨折による腰痛をきたすことになります.

 次に炎症によるものとしては、結核性脊椎炎や化膿性脊椎炎などがあります.しかしこれらはもう今では各種抗生物質の開発やCTおよびMRIなどいろいろな検査法の開発などによりまして頻度は少なくなっております.それから腫瘍によるものでは、脊髄に原発する各種腫瘍以外に、肺癌、胃癌、腎癌、前立腺癌、乳癌、甲状腺癌などいろいろな悪性腫瘍の脊椎転移、さらには多発性骨髄腫といいまして骨髄に原発する造血器腫瘍などによることもあります.それから腰椎およびその周辺組織の変性によるものでは、加齢性の変化や軽微な外傷の繰り返しなどにより腰椎椎体の骨の変形が生じて腰痛を引き起こす変形性脊椎症、同じく椎間板の変性による腰部椎間板変性症、椎間関節の軟骨の変性による椎間関節性腰痛症、小児期に繰り返される激しいスポーツ活動によって起こる腰椎椎弓の疲労骨折である腰椎分離症、加齢性の変化によって腰椎が前方にずれることによって腰痛を生ずる腰椎すべり症、同じく加齢性の変化が腰椎体、椎間板、靱帯などに起こり脊髄が収まるスペースである脊柱管の狭小化が生ずる腰部脊柱管狭窄症などがあります.

 また腹部内臓臓器由来のものとしては、肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓など上腹部内臓や後腹膜臓器の疾患によるものはもちろんのこと、子宮、卵巣、膀胱など骨盤内臓器の疾患でも痛みを生ずることがあります.さらに心因性のものとして、ヒステリーやうつ病などに伴うものもあります.これらの診断を下すに当たっては、これまで述べてきましたさまざまな腰痛をきたす疾患を除外することはいうまでもありません.

 ご相談の方の場合、40歳前ころから慢性の腰痛が発症し、その原因がよく分かっていないということのようです.これは腰椎や腰椎周囲組織すなわち腰椎を支えるいろいろな筋肉やその筋膜などが加齢的な変化を起こし始め、従来の日常生活活動を維持するのに負担がかかってきて、その結果、非特異的な腰痛をきたしているものと思われます.これまで整形外科で画像検査を始めいろいろな検査を受けられてきていると思いますので、先ほど述べました慢性筋肉性腰痛症あたりがもっとも考えやすいかと思います.鎮痛剤などの薬物療法や温熱療法など理学療法も有効かと思いますが、前屈みの防止など不良な姿勢をさけたり、腹筋や背筋の強化や軟部組織の柔軟性の獲得などのため腰痛体操を取り入れてみたら良いかと思います.

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