頭痛

2000.05.28 放送より

 ”一生に「頭痛」を感じたことがない人は、まず皆無と言っていいでしょう。 

 Q.頭痛にもいろいろあると聞いたことがあるのですが・・・


 A.頭痛という症状を、まず大きく2つに分けて考えてみましょう。

 1つは、脳の病気が原因で起こる頭痛です。「脳腫瘍」や「くも膜下出血」など器質性頭痛は、今まで経験したことのないような激しい頭痛を訴えます。頻度的には少ないのですが、もちろん生命に関わることがありますので、注意が必要です。たとえば、以下のような症状を訴える患者さんがいます。

 くも膜下出血 ・・・・突然、バットで殴られたような痛み、激しく嘔吐


 髄膜炎 ・・・頭全体、特に頭の後ろが強く痛み、体を動かすと痛みが増し発熱がある。


 脳腫瘍 ・・・頭痛が日を追ってだんだんひどくなる。また頭が重い感じがする。


 脳内出血・・頭痛や吐き気に伴って手足のしびれや肩半身の麻痺がおこり、意識がぼーっとしてくる

 こんな症状があるときは、「たかが頭痛」と侮らずにすぐに病院へ行きましょう。CTやMRIなどで脳実質内の異常を検査し、早急な手当が必要になります。

 そしてもう一つの頭痛は、他の病気が無く、繰り返し起こる頭痛で、いわゆる「頭痛持ち」の頭痛です。
具体的には、片頭痛、緊張型頭痛に分けられますが、どちらも慢性頭痛・機能性頭痛と呼ばれるものです。
今日は、主にこちらの方の頭痛のお話を中心にさせて戴こうと思います。

 Q.頭痛ってなぜ起こるのでしょう?

 A.いったいどこが痛むのか?

 私、学生の時この話を解剖学か何かの講義で聞いてびっくりした事を今も覚えているのですけれど、・・・・・・・・・

 脳実質は、切っても焼いても痛くないのだそうです。意外ですよね。

 実際に痛みを感じるのは、
頭皮、血管、頭頸部の筋肉、頭蓋骨を包む膜頭蓋骨の中に入りまして、脳を包んでいる膜(髄膜)の一部、髄膜や脳の栄養する動静脈などです。
これらには痛覚や圧迫に対する感覚受容器があって、痛みを感じるのです。

 〇なぜ、頭痛が起こるのか?に関しましては、


 痛みというのは、動物の生存に役立つ「警告信号」という事が言えます。

熱いストーブに手が当たっていたり、足を踏まれたら痛いでしょ。痛いから手を引っ込めたり、大声で知らせたりして、危険から回避しますよね。
これが、痛くなければどうなりますか?指が焼け落ちても、手を引っ込めずにじっと知らん顔でいますから、大変なことになりますよね。痛いのはイヤだけれど、痛みがあるという事で危険な状態である事を知らせてくれているのだと思うと、これは大事なことだと納得しますよね。痛みは実は人が生きていく為にはとても大切なもの(警告信号)なのです。
では、いったい何から逃げなさいよという警告なのか?器質性の頭痛以外は、ちょっとすぐには思いつかない。でも、今日のお話を聞いていただくと、答がわかって戴けると思います。では、先ほど申し上げました慢性に繰り返し起こる頭痛、器質的病気がなくて起こる機能的頭痛についてお話をしていきます。
大きく2つに分けてみていきましょう。

 1つは、片頭痛・・・頭の片側あるいは両側が、が脈を打つようにゆっくりとズキン・ズキンと痛む。時間がたつにつれ痛みが増す。


 2つ目が緊張型頭痛・・・後頭部から重い痛みがあり頭の横から眼の後ろに広がる圧迫されるようなまたは、締め付けられるような痛みが両側性にある

 初めにもうしました、頭痛は いったい何から逃げなさいよという警告信号なのか?

 もう、お判り戴けましたよね。

 片頭痛にしても、緊張型頭痛にしてもストレスや睡眠不足など体に悪い生活習慣から逃げなさいよ生活習慣を改善しなさいよという、立派な警告信号なのですから。

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